捨てたもんじゃない10年代の世にも奇妙な物語(後半)
前半の続きです。早速本題に入りますね。
箱(2015秋)
25周年記念映画監督編にて、『アンフェア」等を脚本、演出された佐藤嗣麻子氏が監督を務めた作品。世にもでも「僕は旅をする」で一度ご参加されておりますね。
あらすじを見て「リミット」を思い浮かべる人もいるでしょう。実際僕も既視感はあるなと思ったらそれだなぁと。意外とこの話を知っている人は多いらしく、世にもって改めて人気なんだなとしみじみ。
演者のヒステリックな演技と言い、そして後味の悪さ。視聴後のもの悲しさは計り知れないですね。最近の世にもでもダントツの胸糞さがあります。しかもこれが1話目というね…。人ってどうして狭い空間に閉じ込められることに恐怖を感じるんでしょうね。まぁでも棺桶の中に3日間過ごせと言われてやろうとは思わんしなぁ…。皆さんも狭い空間への恐怖を感じてみてはいかがでしょうか。
夢みる機械(2016春)
世にも二代目ホラー担当として定評のある松木創監督の作品。松木監督作品なら間違いなく僕はこの作品が一番好きです。主人公からしたら「ディストピア」でしょう。しかし、主人公以外からしたらまさしく「ユートピア」そのもの。この対比もさることながら、恋人が主人公に放つ言葉や終盤の展開など、絶望感は計り知れないもの。
何がひどいかって、周りの人間からしたら主人公が「ユートピア」を壊そうとする敵なんですよねぇ。主人公は必死に抗おうと頑張っていますが、結局それははたから見れば侵略活動みたいなもんです。この一貫した報われなさもまたいいんですよね。
ラストの悲壮感は言葉では計り知れないもの。この後主人公はどうするのだろうと色々妄想がはかどりますね。窪田正孝さんの切羽詰まった演技も見ものです。やっぱり松木監督は心霊的なド直球ホラーよりこういったものが好みですね。今回はSFですけど。
寺島(2017秋)
元々この作品の構想などは予定されていたそうですが、原作者が行方不明という事でなんと10年以上お蔵入り扱いを行けていた作品です。簡単なあらすじとしましては、ある漫画家のアシスタントに来た女性。寺島と名乗る彼女は結構可愛く、思わず彼女をデッサンにする漫画家。そんな中、寺島は小学生の友達について話し始めた…。
タイトルにある通り寺島という女性についてのお話ですが、展開自体は予想できるものと思います。ですが、真相が分かった瞬間の寺島の豹変ぶりはすごいですよ。配役として吉岡里帆さんが演じてくれましたが、前半のおっとりとした雰囲気から一転、狂気を孕んだえぐみのある演技に思わず鳥肌が立ちます。スイカに対する食欲が失せることは間違いないですね。
監督も都築淳一監督、脚本も中村樹基氏と世にもお馴染みの方々で安心して見れます。これぞ世にもの王道ホラーと言える内容で十分に楽しめると思います。
クリスマスの怪物(2018秋)
川栄李奈さん主演、朱川湊人氏原作の作品ですね。怪物というものですからどんなホラーかと思えば、意外にも勧善懲悪系のストーリー。「いじめ」というリアルな問題を扱っていますから、恐怖より陰鬱さが大きい作品ですね。中盤のシーンは胸糞さがありますし、クリスマスとタイトルにあるのにえらく重たいなぁ…という感想が出てくると思います。最後のセリフは妙に頭にこべりついて離れないものです。
あとは結構ファンタジー要素も入っているのでそこら辺は好みもあるかもしれません。ですが、主人公は何気ひどいことをしているので感情移入は無いですし、裁かれる時も意外とスッキリするものです。もちろん「怪物」が迫ってくるシーンも中々怖さがありますし、主人公が過去に犯した過ちがそのまま返ってくる場面は少し鳥肌。
安心安定の岩田監督なので、特に不安もなく見れる作品です。クリスマスの日に是非いかかでしょうか?
恋の記憶、止まらないで(2019秋)
2010年代ナンバーワンホラーと言えばこの作品。世にもフリークを唸らせた斎藤由貴さん主演の作品であります。
これぞまさに世にもホラー!前回の19春(あえてこう書きます)を経ての秋だったので期待度はいまいちだったのですが、やられたなぁというのが当時の感想でした。
タイトルの伏線回収、じわじわと襲い掛かってくる恐怖、VHSビデオを用いた和風ホラーなどなど…。もうとにかく満足度の高い作品です。実際当時「怖かった」「トラウマ」といった声が多数あった記憶があります。知らぬ間に盗作していた…。クリエイターには耳の痛い話ですねぇ…。
これまた岩田監督(やばくね?この人)の丁寧な演出も相まってしっかり怖がれます。あのCMソングが中々印象が強くて、次の「コールドスリープ」でも消化しきれなかったほどです。まぁ。百聞は一見に如かず。是非見てみてください。
いかかでしたでしょうか?いかんせん語彙力がないので伝わったかどうかわかりませんが…。
前半はハートウォーミング・コメディ系が占めてた一方で、後半は打って変わってホラー・ブラック一色でした(若干サスペンス要素もありますが)。他にも「ワタ毛男」「墓友」「復讐病棟」「妻の記憶」等と紹介しきれなかった作品はありますが、言いたいことは一つ。
10年代の世にもも捨てたもんじゃない
また、今回10作品のうち4作品が岩田和行監督ということで、彼がいかに世にもで必要とされているか身に染みて感じましたね。
なんだかんだ人気のある番組ですから、これからも名作を生み出してくれることを期待しながら見守りたいです。
この中で気にいった作品があればうれしい限りです。是非、一度ご視聴になってみては?